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養成事業について

 投稿者:しま  投稿日:2008年 4月 9日(水)22時14分19秒
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   >ここのところ、もう少し詳しく教えて下さい。
                 (kazさん)

 kazさん、ご質問ありがとうございます。4/8のエントリーのあの部分に引っかかる人ってなかなかいないと思いますが、なかなか良い所に目がいきましたね。
 手話通訳事業をする上で、いつも悩みの種の1つとして存在しているのが通訳者の人材的な不足、それも、慢性的な人材不足です。新しい人が育たないとコーディネーターやベテランは嘆いている訳ですが、反面、新しく通訳に登録した人の中には、「現場の経験がなかなか積めない」という悩みも存在していたりします。コーディネーターの中には、新しい人を積極的に医療現場の通訳に出したりという事をしている人もいるようですが、果たして、それが正しいあり方なのかというと、私は違う気がするんですよね。「現場の経験を積んでこそ一人前の通訳に育っていくのだから、積極的に現場に出すのは良い事だ。」という理屈もあるでしょう。でもね、一般企業の仕事ならどうなんでしょうか。
 一般企業でも、積極的にOJTはしています。机上の学習では絶対に学べない現場の空気や展開に出来るだけ慣れて貰うという事がこれらの大きな目的ですが、その場合、必ずベテランの先輩が付いていて、対処出来ないような状況に陥った際にフォロー出来るようにしています。これはどうしてなのでしょうか。答えは簡単なんですよね。現場は新人を育てるのが目的の場ではなく、あくまでも顧客がいて、その顧客への対応が最重要だからです。だからこそ、顧客に迷惑がかからないような体制を整えた上で、OJTを施します。振り返って、通訳現場はどうでしょうか。そうやってベテランの先輩通訳さんなりコーディネーターが同行して何があっても一切の迷惑がかからないような体制を敷いて実施している所というのは非常に少ないのではないでしょうか。これこそが大きな問題だと私は思っているんですよね。
 特に、医療現場の通訳は、場合によってはその人の命に関わる通訳をしなければいけない非常にストレスのかかる現場ですし、利用者側もとても大きなリスクを背負う事になります。新人通訳者が行って、経験不足故その場に存在している問題点に気が付かず、自らの伝達の不備にも気が付かずに帰ってきた場合、どうなるでしょうか。現場で、それがとても大きな問題である事に気が付き得る存在は通訳者であるはずですが、それに気が付かずに見過ごされたリスクは、結果として利用者にかかる事になります。ですから、OJTをするのなら、それらのリスクを十分に考慮した上で、コントロール出来る常態化に置くようにしなければいけないと思うんですよね。という事は、OJTをおこなう際のリスクが小さければ小さい程良いと言う事になります。
 「派遣事業とは別に養成事業を」というのは、私の地元のような特殊な状況の中での事かも知れませんが、現実には、通訳者を要する期間全てに言える事だと思っています。つまり、OJT以前の学習をもっとしっかり構成し、OJTの際に利用者にかける負担を出来るだけ軽くしておく事が必要だと思っている訳です。では、何をどのようにすればそれが可能なのかという事ですよね。例えば、航空会社の場合はどうしているのでしょうか? 飛行機の操縦というのも、経験が重要なんだそうです。危険な状況に陥った際に冷静に事態を理解し、対処する事がパイロットには求められます。彼らは実際の飛行機を操縦する前に、全く同様の機能を持つシミュレーターで何度も何度も繰り返し訓練し、緊急事態についても想定し、訓練をした上で実機の操縦訓練を始めます。機種転換の際にも同様にシミュレーターで慣れておいた上で実機の転換をします。通訳もこれと同様に現場に出る前に十分な習熟をしておくようにするべきだと思っています。
 これを手話通訳にあてはめてみると、現場で実際に通訳をする前に、十分に養成期間を設け、その中で、ロールプレイスタディや模擬通訳といったシミュレーション学習をします。その都度その都度のシミュレーションの中でどんな事に気付いたのか、どういう対処が本当なら良かったと思うのかを多角的に話し合い、どうして自分は実際にしたような行動を取ったのか、するべきだった行動とどう違っていたのかを理解するようにしていきます。また、自らの通訳上の課題を明らかにし、その課題を念頭において課題に取り組み、次のステップに進んでいきます。また、養成期間の中で、研修生として通訳をする機会を設け、指導担当者がその様子を観察して評価し、話し合いをしていくようにします。こういった丁寧な養成期間を設ける事が必要なんじゃないかと思っています。
 手話通訳者を養成するというのは、結果として自分達のなかまを増やし、最終的には自らの負担を軽減したり、利用者の利便性を向上させたりする事が出来る訳で、自らの為にも仲間を増やすという事が必要になります。また、私の地元のような場所では、通訳の質と量の向上は事業実施者として協会にも責任があると思っています。そういう意味では、協会が率先して自らを守る為の事業として通訳者の養成をしなければいけないと思っています。
 そういう意味で、通訳派遣事業とは別に養成事業を実施する必要があると考えている訳ですが、お解り頂けたでしょうか?
 
 
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